18世紀から19世紀にかけて行われた毛皮目的の苛烈な密猟と商業捕獲により、地球上のラッコは一度根絶寸前まで追い詰められた。その後、国際的な保護条約によって一定の回復を見せたものの、21世紀の現在、新たな脅威が彼らを襲っている。
巨大タンカーの事故による原油流出は、ラッコにとって致命的だ。彼らはアザラシのような厚い皮下脂肪を持たず、密生した体毛の間に空気を溜め込んで体温を保っている。原油が毛に付着すると保温機能を失い、低体温症で死に至るのだ。さらに、海洋プラスチック汚染や化学物質の蓄積、地球温暖化に伴う海水温の上昇と病原体の拡大が、弱り切った個体群を休むことなく追い詰めている。