介護の世界で基本中の基本とされる「脱健着患(だっけんちゃっかん)」。健康な側から脱がせ、麻痺のある側から着せるというこの原則は、今や誰でも知る常識だ。しかし、レポートが指摘するのは、その先にある「複合的な身体変化」への対応不足である。
現代の高齢者は、単一の麻痺だけでなく、重度の関節リウマチや骨粗鬆症、認知症などを併発しているケースが珍しくない。ただ機械的にルールを適用するだけでは、予期せぬ激痛や皮膚の剥離を引き起こす。関節の可動域をその日の体調に合わせて見極め、無理のない角度で袖を通す繊細な指先の感覚こそが、今まさに現場で求められている。