学生時代の密かな不満が、億単位のビジネスに化けることがある。ロネン・ギヴォンとクリスチャン・ムイセットの2人は、ケンブリッジ大学での勉強中、いつも同じ課題に直面していた。手頃で健康的、かつ素早く食べられるまともなランチが見つからない。
地中海沿岸で親しまれてきたフムスは、イギリスではスーパーの棚の隅にあるパケット入りの「冷たいディップ」に過ぎなかった。しかし、彼らは知っていた。新鮮で滑らかなフムスの上に、温かいビーフシリやグリルチキンを盛り付け、焼きたてのピタパンで掬い取る料理が、どれほど人の心を掴むかを。
2005年、彼らはロンドン中心部ソーホー(Soho)のウォードー・ストリートに第1号店を開設した。「Give chickpeas a chance(ひよこ豆にチャンスを)」というキャッチコピーを掲げた店舗には、健康志向のオフィスワーカーや学生が殺到。瞬く間にロンドン名物の行列店となった。