猫の骨格を観察すると、過剰な固定を排除し、徹底的に柔軟性と推進力を追求した進化の形跡が浮かび上がります。人間の骨格が直立歩行のために堅牢な体幹を形成しているのに対し、猫の骨格は「しなる弓」のような構造を持っています。
退化した「浮遊鎖骨」が生み出す狭所通過能力
人間の鎖骨は肩甲骨と胸骨をしっかり繋ぎ、腕を横に広げる構造を支えています。しかし、猫の鎖骨は退化して極めて小さく、周囲の筋肉組織の中に埋もれるように浮いています。この「浮遊鎖骨」のおかげで、猫は肩幅を極限まで狭めることができ、頭部さえ通過できればどんなに狭い隙間でもすり抜けることができるのです。
驚異的な柔軟性を発揮する脊柱と椎間板
猫の背骨(脊柱)は、頚椎7個、胸椎13個、腰椎7個、骨盤部(仙椎)3個、そして尾椎18〜23個で構成されています。特に腰椎と胸椎の関節は極めて可動域が広く、厚く弾力性に富んだ椎間板がクッションの役割を果たしています。この構造により、背骨を大きく弧を描くように曲げ伸ばしすることが可能となり、爆発的な跳躍力と速走を生み出しています。