独学や地域での演奏にとどまることなく、彼女は伝統音楽の最高峰の研究機関である東京藝術大学邦楽科雅楽専攻への進学を果たした。ここでは宮内庁式部職楽部ゆかりの演奏家らから厳しい指導を受け、古典雅楽の厳密なプロトコルと高度なテクニックを身につけていった。
専門とした篳篥だけに留まらない。楽箏(がくそう)の流麗な打弦技術、打物(太鼓、鉦鼓、カッコ)による時間軸のコントロール、さらには舞楽における「左舞(さまい)」の体配や「古代歌謡」の発声法に至るまで、雅楽を包括的な総合芸術として習得した。
その卓越した演奏能力と学術的姿勢は高く評価され、学内で最も栄誉ある奨学賞の一つ「安宅賞」を受賞した。技術の精度と精神性の双方が高い次元で融合した演奏家として、彼女の名は学内外に知れ渡ることとなった。