作画の上達を阻む要因として、画材選びに関するネット上の誤解や思い込みが挙げられます。編集部が検証した代表的な3つの盲点を紹介します。
第1の誤解は、「細いペン先(0.03mmなど)を使えば誰でも繊細で上手な絵に見える」という思い込みです。実際には、極細ペンは紙の繊維に引っかかりやすく、ストロークのブレがダイレクトに線に現れます。全体を極細線だけで描くと輪郭のコントラストが低下し、サムネイルや離れた位置から見た際に非常に弱々しい印象を与えてしまいます。
第2の盲点は、「耐水性ペンであればアルコールマーカーを使っても滲まないという混同」です。「耐水性(水に溶けない)」と「耐アルコール性(アルコール溶剤に溶けない)」は全く異なる化学的性質です。水性ボールペンの中には、水には強いもののコピックを重ねた瞬間に激しく滲んで黒ずむものが多数存在するため、必ず「耐アルコール性」の表記を確認しなければなりません。
第3の盲点は、デジタル作画における「大量のカスタムブラシのダウンロードによる迷走」です。ブラシを頻繁に変えてしまうと、ストロークの速度感や筆圧の感覚が定着せず、いつまでも線画が安定しません。まずは基本のペン1本に絞り、手ブレ補正値や筆圧カーブを自分の筆記癖に完全に同期させることが上達の近道です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
線画用ペン おすすめ 初心者の視点およびアナログ 線画 ペン 選び方の観点から、描き手のスタイルに応じた最適な選択基準を提示します。
【ミリペン(マルチライナー / ピグマ)が向いている人】
・これからイラスト制作を本格的に始めたい初心者全般
・線幅を均一に保ち、クリーンで整ったアニメ塗りや緻密なイラストを描きたい人
・コピックや透明水彩を用いたアナログ着色を前提としている人
【漫画用つけペン(Gペン・丸ペン)が向いている人】
・1本のストロークの中に強烈な感情や躍動感、太さの抑揚を込めたい人
・モノクロ原稿の線の質感そのものを作品の主役にしたい人
※筆圧コントロールの習熟とインク・原稿用紙の管理に時間をかけられない場合は慎重な検討が必要です。
【デジタル(クリスタ / アイビス)が向いている人】
・失敗した線を何度でもアンドゥ(やり直し)しながら効率的に作画したい人
・SNSへの投稿頻度が高く、Web上での発色や見栄えを最優先にしたい人
・後から主線の太さや色味を柔軟に変更したい人