メリットが際立つ一方で、天井チャンバー方式のデメリットを軽視した結果、引き渡し後に深刻なトラブルへ発展するケースも後を絶ちません。設計段階で見落とされがちな2大リスクが「結露」と「気流の偏り」です。
第一のリスクは天井チャンバーの結露対策です。天井裏空間には室内からの戻り空気(温度26℃前後、相対湿度50〜60%程度)が充満します。もし最上階の屋根スラブや外壁面の断熱性能が不足していると、夏場に冷えた天井裏面や冬場の冷たい外壁躯体と還気空気の温度差によって、スラブ下や配管表面に大量の結露水が発生します。これが滴り落ちて仕上げボードに染みを作り、カビの温床となる事故が現場で散見されます。
第二のリスクは天井チャンバーの給排気バランスの崩れです。ダクトレス構造ゆえに、空調機から離れたエリアでは十分な吸込風量が得られず、吸込口近くのエリアばかりから空気が戻る「ショートサーキット」が発生しがちです。また、天井裏の気密性が甘いと、外気や隣接ゾーンの湿った空気を意図せず吸い込んでしまい、冷暖房効率が著しく低下します。
さらに、天井裏に敷設された通信ケーブルや照明器具の発熱負荷を空調機が直接受ける点や、天井裏の粉塵がフィルターを早期に目詰まりさせる点も、日常のメンテナンス計画に織り込んでおく必要があります。