原作者・吾峠呼世晴の筆致が持つ最大の魅力は、悪に対する無慈悲な断罪と、その魂への無条件の慈愛が同居している点にある。少年漫画の王道であるバトルアクションの構造を保ちながら、敵キャラクターの背負う構造的暴力や理不尽な喪失を極めて生々しく描写する。『鬼滅の刃』が世代を超えて支持される本質がここにある。
狛治が犯した罪は決して帳消しにはならない。しかし、地獄の業火へと向かう彼の背中にすがりつき、「一緒に行く」と泣き崩れた恋雪の存在は、地獄すらも二人にとっては救済の場へと変容させた。善悪の二元論を軽々と超越するこの結末は、現代の読者に強烈な倫理的・感情的問いを投げかける。