昭和のアクションスターとして名を馳せた宍戸錠ですが、1954年に日活ニューフェイス第1期生として映画界に飛び込んだ当時の姿は、後年のコワモテな印象とは180度異なるものでした。日本大学藝術学部演劇学科を中退して日活に入社した若き日の彼は、くっきりとした二重まぶたに筋の通った鼻梁、シャープなフェイスラインを持つ、まさに「ヨーロッパの映画スター」を彷彿とさせる貴公子然としたルックスを誇っていたのです。
当時の映画関係者や同期生の間でも、その端整な顔立ちは群を抜いて目立っていました。デビュー作となった映画『警察日記』(1955年)などで見せた初期の演技では、純朴な青年警察官役などを演じており、当時のスチール写真や昔の画像を確認すると、現代のトップ若手俳優にも引けを取らない洗練されたビジュアルであることが分かります。
しかし、当時の映画界は美男子俳優が乱立する激戦区でした。石原裕次郎や小林旭といった強烈なカリスマ性と個性を放つ同期・後輩たちが頭角を現す中、宍戸錠は「綺麗な顔立ちをしているが、どこか迫力に欠ける」「主役を張るにはインパクトが足りない」という冷徹な評価に直面することになります。