映画『高校与太郎哀歌』の圧倒的な臨場感を支えたのが、静岡県清水市(現・静岡市清水区)を中心に行われた過酷なオールロケです。巴川の周辺やエスパルス通り、地元のアーケード商店街、さらにはクライマックスの舞台となった巨大な工場跡地など、当時の清水の街並みが余すところなくフィルムに焼き付けられています。
那須監督の現場は「本気でやらなければ画が死ぬ」という極限の緊張感に包まれており、走る電車からの飛び降りや、高所からの落下スタントもキャスト自らが身体を張って挑みました。地元住民や本物のツッパリたちがエキストラとして大挙参加した現場は、時に本物の小競り合いが勃発するほど熱を帯びていたと語り継がれています。街全体を巻き込んだ昭和のエネルギーと、スタッフ・キャストの執念が生み出した奇跡のロケーションでした。