最も恐ろしかったのは、物理的な闇ではない。情報の遮断だ。
スマートフォンのバッテリーが切れるにつれ、市民は「何が起きているのか」を知る術を失った。ラジオの重要性が再認識されたものの、家庭に常備している世帯は少数派だ。SNS上では「テロリストによる大規模攻撃が始まった」「隣国からの電磁パルス攻撃だ」といった根拠のないデマが飛び交い、人々の不安を煽った。
暗闇に乗じた軽犯罪も報告されている。自動ドアが開かなくなった店舗のガラスを破り、商品を盗み出すケースが都内だけで数十件発生。警察はパトロールを強化したものの、信号が消えた道路での移動は困難を極めた。