センブリを語る上で避けて通れないのが、極小の量でも強烈な苦味をもたらす化学物質「アマロゲンチン」と「スウェルチアマリン」の存在だ。特にアマロゲンチンは、自然界に存在する物質の中で最も強い苦味を持つもののひとつとして知られ、数万倍に希釈してもなお舌が認識できるほどである。
これまで単なる「不快な味」として片付けられていたこの苦味が、近年の研究で消化液の分泌を爆発的に促進し、腸管のペプチドホルモン分泌を活性化させることが判明した。胃腸の蠕動運動を自然なリズムへと導く力は、化学合成された市販の胃腸薬をも凌駕する。人工甘味料や超加工食品に慣れきった舌と胃袋に、センブリの強烈な一撃はまさに「内臓の冷水浴」とも言えるショック療法として機能する。