石段を登りきった境内で一際目を引くのが、港区の天然記念物にも指定されている樹齢400年を超える大銀杏の巨木だ。周囲のコンクリートジャングルとは完全に切り離されたその緑陰は、一歩足を踏み入れるだけで体感温度がすっと下がるような清々しい気にあふれている。
秋になれば見事な黄金色の絨毯が境内を覆い尽くすが、新緑が眩しい季節の木漏れ日もまた格別である。葉が擦れ合うかすかな音、鳥の声、湿った土の匂い。スマートフォンをポケットに仕舞い、ただ見上げるだけで、擦り切れた神経がゆるやかに解きほぐされていく。この圧倒的な自然の包容力こそが、多忙な現代人をつなぎとめる最大の魅力にほかならない。