本作が描く性は、決して消費されるための娯楽ではない。むしろ、徹底的に生々しく、時に目を背けたくなるような苦痛を伴うものとして描かれている。主人公の高校教師・原美鈴が抱えるトラウマ、そして彼女を取り巻く人間関係の中で交わされる性の営みは、権力関係や支配欲の象徴だ。
多くの読者が衝撃を受けたのは、その圧倒的な心理描写である。行為そのものの過激さ以上に、登場人物たちの内面にある空虚さや絶望が、読者の心に深く突き刺さる。安易なカタルシスはそこにはない。あるのは、男尊女卑の価値観が根強く残る社会で、自らの尊厳を削りながら生きる女性のリアルな姿だ。