尾道市立美術館を訪れるにあたり、ネット上の情報だけを鵜呑みにして現地で戸惑わないための重要ポイントがいくつか存在します。
まず最も多い誤解が、「入館すれば必ずケンちゃんに会える、あるいは触れ合える」という認識です。ケンちゃんは美術館の飼い猫ではなく、あくまで近隣で大切にされている地域猫です。天候や本人の気分、体調によって姿を見せない日も多く、仮に見かけた場合でも過度な接近や無理な抱っこ、持参したエサを与える行為は固く禁じられています。周囲の静穏を保ちながら、遠くから優しく見守る姿勢が求められます。
また、「猫を館内に入れてあげればいいのに」という一部の意見に対しても、美術館運営の現実を知る必要があります。展示室内は温湿度管理が厳格に行われており、動物の毛や付着した害虫、皮脂などは貴重な油彩画や日本画、歴史的古美術品にとって致命的な劣化要因となります。「展示品を守る責任」と「動物への配慮」を厳密に区別した運用こそが、公共美術館としての高い信頼性を担保しています。