専門家の間では今もいくつかの仮説が飛び交っている。最も有力視されているのが「体温による揮発成分の立ち上り」だ。足の裏に塗られた軟膏に含まれるメントール、ユーカリ油、樟脳(カンフル)といった有効成分が体温で温められ、フワリと立ち上る。それが布団の中で充満し、睡眠中の鼻や口から自然に吸い込まれることで、喉や気道に清涼感を与えているという見解だ。
一方で、東洋医学のツボや足裏反射区に着目するアプローチも根強い。足の裏には自律神経に働きかける神経系が集中しており、メントールの冷感刺激が皮膚の受容体を介して中枢神経に作用し、咳嗽(がいそう)反射を和らげているのではないかという説だ。ただし、現時点で大手製薬会社や西洋医学の臨床試験において、足裏塗布と咳抑制の直接的な因果関係を証明した確定的なデータは存在しない。