古くから世界中で愛される童話『美女と野獣』は、単なるロマンティックな寓話ではない。認知心理学の観点から見れば、人間の知覚メカニズムの真理を突いた極めて現実的な物語である。日本心理学会などの研究発表でも知られる「感覚適応(順応)」の働きにより、人間はどれほど美しい顔にも、どれほど平凡な顔にも、平均して数ヶ月から半年程度で完全に慣れてしまう。
テレビなどでも知られる心理学者の植木理恵氏がしばしば指摘するように、人間の脳は「変化しない刺激」に対して鈍感になるようプログラムされている。どれほど国宝級のイケメンであっても、毎日同じ食卓を囲んでいれば、その顔立ちがドーパミンを放出し続けることはない。一方で、ユーモアのセンス、知的好奇心の深さ、思いやりのバリエーションといった内面の魅力は、日々の生活の中で常に新鮮な刺激を生み出し続ける。
外見は「慣れる」が、人格は「飽きない」。この心理学的メカニズムを理解していれば、パートナーの顔立ちがモデル並みでないことへの不安は、驚くほど静かに霧散していくはずだ。