古美門研介が放つ言葉の数々は、単なる暴論ではない。堺雅人が圧倒的な熱量と滑舌で体現したこの弁護士の核にあるのは、「依頼人の利益を最大化することこそが弁護士の唯一の職務である」という徹底的なプロフェッショナリズムだ。相棒となる新米弁護士・黛真知子(新垣結衣)が掲げる純真な「人権擁護」や「弱者救済」といった綺麗事を、古美門は容赦ない毒舌で粉々に打ち砕く。
「我々は神ではない。ただの弁護士だ。真実が何かなんて分かるはずがない」
このセリフに象徴されるように、本作が描いたのは司法制度のリアリズムそのものである。民事裁判の本質は「正義の審判」ではなく、法という厳密なルールに基づいた「紛争解決のゲーム」に過ぎない。依頼人が善人か悪人かは関係ない。勝訴判決を勝ち取ることこそが契約履行であり、正義の定義を法廷に持ち込むこと自体が傲慢であるというテーゼは、今なお色褪せない知的興奮を観る者に与えている。