主演男優賞と並んで世界中の批評家から大絶賛を浴び、エミー賞主演女優賞に輝いた澤井杏奈の演技もまた、作品の核をなしている。彼女が演じた戸田鞠子(まり子)は、運命に翻弄されながらも高潔な意思を貫く女性だ。複雑な感情の機微を静かな佇まいと眼差しで表現し、観客の心を捉えて離さなかった。
従来の歴史時代劇に登場する女性像の型を破り、誇り高く自らの運命を切り拓く姿は、国境や時代を超えて現代の観客の共感を呼んだ。英語と日本語のバイリンガルである澤井杏奈だからこそ表現できた二つの文化の狭間に立つ葛藤は、物語に計り知れない奥行きを与えている。