当時の日本のテレビ業界、特にお笑い・バラエティ業界におけるコント制作は、現在のバラエティ番組とは比較にならないほどストイックだった。『志村けんのバカ殿様』をはじめとする志村の番組群では、わずか1分のコントを撮るために何時間もの稽古が費やされた。
石野陽子はアイドルとしての華やかさを持ちながら、志村の過酷な稽古に一切音を上げなかった。パイを顔面に投げつけられ、水に落ち、変顔を晒す――そうした体を張った笑いに対しても、常に真剣勝負で挑んでいた。彼女のプロ意識が、志村けんという喜劇王の妥協なき笑いを支えていたことは間違いない。