音楽業界に目を向けると、渋沢栄一の玄孫(ひまごの子)にあたるシンガーソングライター、渋沢葉(しぶさわ らんる)の存在が際立つ。彼女が紡ぎ出す音楽は、決して大衆迎合的なポップスではない。どこか退廃的で、それでいて圧倒的な生命力を感じさせる独自のオルタナティブ・ロックの世界観は、音楽批評家たちからも高く評価されてきた。
彼女のデビュー当時、メディアはこぞって「渋沢栄一の末裔」というセンセーショナルな見出しを掲げた。しかし、彼女のライブに足を運んだ人々が目にしたのは、家系の看板など一切必要としない、剥き出しの歌声と圧倒的な表現力だった。血脈がもたらすアーティスティックな感性は否定できないが、それを自らの血肉化し、独自の芸術として昇華させている点において、彼女は真のクリエイターと言える。