両雄の対立は1881年に端を発します。セント・マークス(現シティ)とニュートン・ヒース(現ユナイテッド)の初対決から140年以上、マンチェスターダービー因縁の経緯は常に都市の社会構造や階級意識と密接に結びついてきました。労働者階級の誇りを背負ったユナイテッドが本拠地とするオールド・トラッフォードは「夢の劇場」と称され、サー・アレックス・ファーガソン体制下で国内外のタイトルを独占。かつてファーガソン元監督がシティを「うるさい隣人」と吐き捨てた逸話は、当時の圧倒的な力関係を象徴しています。
潮目が劇的に変わったのは2008年、シティが巨額のアブダビ資本を受け入れた瞬間でした。近代的施設を誇るエティハド・スタジアムを拠点に次々と名手・名将を迎え入れ、ペップ・グアルディオラ監督の招聘によって戦術革命を完遂。かつて見下されていた「隣人」は、世界最高峰の完成度を誇るフットボールマシーンへと変貌を遂げました。地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』の記者が「この街の空気は2010年代を境に赤から水色へと完全に塗り替えられた」と回顧するように、覇権を奪われた名門の屈辱と新王者のプライドが交錯し、現在もピッチ上で激しい火花を散らしています。