多くの人がその美しさに目を奪われるが、この場所が持つ歴史的背景を知る人は意外と少ない。夫婦岩は、古くから櫻井神社(福岡県指定文化財)の社地として崇敬されてきた。海中に立つ白い鳥居は、竜宮の入り口を思わせる佇まいで、現世と神域を繋ぐ境界線としての役割を果たしている。
二つの岩を結ぶ大注連縄(おおしめなわ)は、長さ約30メートル、重さは1トンを超える。毎年春に行われる「大注連縄掛替祭」では、氏子たちが力を合わせて新しい縄へと掛け替える。この伝統が途絶えることなく受け継がれているからこそ、私たちは今もなお、あの神聖な空気に触れることができるのだ。