とんかつ大富士を語る上で、名物「ポークジクセル」の存在を外すことはできません。初めてメニュー表を目にした来店客の多くが「ジクセルとは何か?」と疑問を抱きますが、これは豚ヒレ肉やロース肉に小麦粉と溶き卵を絡め、特製のフライパンで黄金色に香ばしく焼き上げる洋食技法をベースにした伝統料理です。
一般的なピカタと混同されがちですが、大富士のポークジクセルは卵液に秘伝の調味料やチーズの風味を忍ばせ、肉の水分を閉じ込めながらふっくらと蒸し焼きのように仕上げる点に決定的な違いがあります。一口頬張ると、柔らかな豚肉から溢れ出す濃厚な肉汁と、まろやかな卵のコク、香ばしいバターの風味が口いっぱいに広がり、とんかつとは全く異なる奥深い満足感をもたらします。
常連客の間では「週に一度は揚げ物を休み、ジクセルで豚肉本来の旨味を味わう」という楽しみ方も定着しています。あっさりとした口当たりながらご飯が止まらなくなる中毒性があり、長年通い詰めるファンにとっては「大富士といえばジクセル」と言わしめるほどの看板商品となっています。