書道の題材選びには、インターネット上のまとめ記事を鵜呑みにすることで生じる代表的な2つの落とし穴が存在します。
誤解①「画数が多い文字ばかりを並べると迫力が出る」
これは初心者が最も陥りやすい罠です。「鎧袖一触」や「魑魅魍魎」のような文字は、一見すると重厚で迫力があるように思えますが、半紙や条幅に配置すると黒の面積が多すぎて息苦しい作品になります。優れた書画は「白をどう見せるか(余白の美)」で決まります。密集した文字の隣にスッキリとした文字を置くことで、初めて主役の文字が際立ちます。
誤解②「楷書で書きやすい言葉は、行書でもそのまま映える」
楷書でバランスが取りやすい四字熟語が、行書や草書でも優れているとは限りません。楷書は左右対称性(シンメトリー)が美しい文字が映えますが、行書では文字の重心をあえて崩し、次の文字へと筆脈をつなぐ「動き」が求められます。書体(楷書・行書・草書・隷書)を決定してから題材を選ぶのが鉄則です。