表現の可能性を押し広げているのは羽生結弦だけではない。長年日本の競技界を牽引し、プロスケーターとしての道を歩み出した宇野昌磨の存在感は際立っている。誰にも真似できない深いエッジワークと、音楽の粒子をそのまま体現するような独特のグルーヴ感。重圧から解き放たれた彼のスケーティングは、自由な色気と圧倒的な疾走感を増し、リンクサイドの空気を一変させる。
こうしたプロスケーター主導の流れの源流には、浅田真央が築き上げた壮大な足跡がある。自ら全国を巡り、劇場型アイスショーをプロデュースし続けた彼女の開拓精神は、後続のスケーターたちに大きな道標を与えた。自らの哲学を氷上で具現化する表現者たちのバトンは、今まさに最も豊かな実りを迎えている。