自衛官の給与格差において、最も顕著な分水嶺となるのが「曹」と「幹部(尉官以上)」のキャリアパス、そしてその頂点に位置する「将官」の給与体系です。
部隊の現場実務を束ねる曹クラスの頂点である曹長年収は、50代のベテランになると年収700万〜780万円前後に達します。曹長は現場部隊の先任上士(最先任下士官)として指揮官を補佐する重責を担い、超過勤務手当(残業代)がつかない自衛官特有の給与体系でありながら、長年の号俸加算と地域手当・扶養手当等の積み上げによって地方都市の民間平均年収を大きく上回る安定性を誇ります。
一方で、自衛隊幹部年収は昇任スピードと責任の範囲に比例して跳ね上がります。防衛大学校卒業生や一般大学卒業の幹部候補生は、3尉からスタートして数年で2尉、1尉へと昇任します。30代半ばから40代前半で3佐・2佐(大隊長・艦艇の副長レベル)に到達すると年収は850万〜1,000万円の大台に乗り、1佐(連隊長・大型艦艦長クラス)では年収1,100万〜1,250万円に達するのが標準的です。
さらにピラミッドの頂点に君臨する将官給料は、国家公務員の指定職俸給表に準じた特別な給与が適用されます。将補で年収1,400万〜1,600万円、陸・海・空の各幕僚長や将クラスになると年収1,800万〜2,000万円超、最高位である統合幕僚長では年収2,200万円規模となり、民間の上場企業重役と同等クラスの待遇となります。
この収入格差を生み出す最大の分岐点が、部内選抜試験や幹部昇任試験です。自衛官昇任試験給与の跳ね上がり幅は大きく、現場の「士」から「曹」へ昇任する試験に合格するだけで身分が非任期制(定年まで雇用)となり生涯賃金が1億円以上変わるほか、曹から幹部への部内幹部候補生試験に合格すれば、その後の昇給カーブは飛躍的に急勾配を描きます。