『news zero』の歴史を語る上で欠かせないのが、3人の歴代メインキャスターが残した足跡と、それぞれの交代劇に隠されたテレビ局の編成戦略です。単なるタレントの入れ替えではなく、テレビ報道を取り巻く環境の変化と視聴者ニーズの変容がダイレクトに反映されています。
初代メインキャスターの村尾信尚氏(元大蔵省主計官)は、2006年の立ち上げから2018年9月までの12年間にわたり番組の屋台骨を支えました。難解な政治・経済ニュースをフリップや模型を多用して分かりやすく解説するスタイルを確立。「ニュースをゼロから分かりやすく」というコンセプトを体現した功労者です。村尾氏の卒業理由について、日本テレビ編成部は「12年という節目を迎え、次世代に向けた番組のフルリニューアルを図るため」と発表。60代を迎えた村尾氏から、より幅広い世代を取り込めるキャスターへの世代交代が図られました。
2代目を引き継いだのが、NHKの看板アナウンサーからフリーに転身したばかりの有働由美子アナウンサーでした。2018年10月から2026年3月までの5年半にわたり、「視聴者と一緒に悩み、考えるニュース」を掲げて番組を牽引。スタジオでの本音トークや自虐を交えた人間味あふれる進行は、深夜の視聴者に強い親近感を与えました。有働アナの卒業理由について、本人は特番や記者会見で「現場に出て国内外の今起きている出来事を自分の目で見つめ、一次情報を自らの言葉で伝えたい」と告白。スタジオワークにとどまらず、国内外の被災地や紛争地、カルチャーの最前線を徹底取材するジャーナリスト活動へ本格シフトするための円満卒業でした。
そして2026年4月、満を持して3代目メインキャスターに就任したのが藤井貴彦アナウンサーです。日テレの夕方の顔として『news every.』を14年間にわたり同時間帯トップに押し上げた立役者が、50代での日本テレビ退社・フリー転身と同時に夜の報道トップへ登用されました。日テレ首脳陣が藤井アナに託したのは、圧倒的な生放送対応力と、コロナ禍などで国民の支持を集めた「呼びかけの言葉」による信頼感の再構築でした。