目に見えない地球の歪みを暴き出しているのが、国土地理院が日本全国に展開する約1,300カ所の電子基準点網(GEONET)だ。数ミリ単位で列島がどの方向へ動いているかを24時間監視し続けている。
ここで近年、特に警戒されている現象が「スロースリップ(ゆっくりすべり)」である。通常の地震のように激しい揺れを起こさず、数日から数週間かけてプレート境界がゆっくりとずれ動く現象だ。揺れを伴わないため人体には一切感じられない。
だが、防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)や海底観測網が捉える微小な低周波微動は、プレートの境界面で確実に何かが起きている証拠を突きつける。スロースリップによって解放された歪みは、隣接する別の固着域へと移動し、そこにかかる応力を急激に高める。これが、巨大破壊の引き金を引きかねない「静かなるシグナル」として警戒されているのだ。