彗星のごとく現れた天才に見えた彼女だが、その下積み時代は泥臭く、そして極めて濃密だった。デビュー前、彼女は数々の大物アーティストのバックコーラスとしてスタジオに籠もり、膨大なレコーディングをこなしていたのだ。
当時、同じスタジオで切磋琢磨していたのが、ZARDの坂井泉水である。透き通るような坂井のボーカルに対し、大黒の力強く芯のあるコーラスが重なることで、珠玉のアンサンブルが生まれた。さらに、数々のヒット曲を生み出した希代のメロディメーカー・織田哲郎の楽曲制作現場でも、彼女の正確無比なピッチと爆発的な声量は重宝された。天才たちがひしめく現場で揉まれ、職人技のような歌唱技術を叩き込まれたことこそが、ソロシンガーとしての強靭な土台を築き上げた。