日本の宗教法人制度を理解する上で外せないのが、その統治構造の二重性だ。宗教法人法に基づき、法人は「文部科学大臣所轄」と「都道府県知事所轄」の2種類に明確に区分されている。
複数の都道府県にまたがって境内地や信徒組織を持つ大規模教団は文部科学省の直轄となり、単一地域で活動する寺社や教会は各都道府県が管轄する。この線引きが、団体の監視体制や透明性に決定的な差を生み出している。
さらに実務を複雑にしているのが、傘下に寺社を束ねる包括宗教法人と、どこにも属さない単立宗教法人の存在だ。伝統宗派の多くは強固な包括関係を築くが、近年は上部組織への上納金や人事に反発し、単立化する寺院が急増している。独立した単立寺院が不動産ブローカーや投資ファンドの標的となり、法人格ごと売買されるトラブルも後を絶たない。信徒不在の「空き寺」がマネーロンダリングの温床となる危うさが、いま現実の脅威として横たわっている。