「最初はただ、話を聞いてくれる優しい人たちだと思った」。取材に応じた30代の脱会女性は、震える声でそう振り返る。彼女が足を踏み入れたのは、宗教色を完全に隠した自己啓発セミナーだった。孤独や将来への焦燥感を巧みに突き、承認欲求を満たす「ラブ・ボミング(愛情のシャワー)」で心理的防壁を解体していく手法は、現代カルトの典型だ。
巧妙なのは、教団名を一切明かさないブラインド勧誘である。ボランティア活動、SDGs勉強会、占い、料理教室。入り口はどこまでも日常的で無害を装う。しかし、一歩内部に入れば待っているのは徹底した情報遮断と睡眠不足、そして「ここを離れれば不幸になる」という恐怖の刷り込みだ。財産の献納だけでなく、人間関係の断絶を迫られ、気づいた時には社会的孤立の檻に閉じ込められている。