甘いお菓子のブランド名が、実は18世紀ドイツの重厚な純文学に由来していると聞いて驚く人は少なくない。株式会社ロッテの創業者である重光武雄は、まだ何者でもなかった若き日に、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作『若きウェルテルの悩み』を読み耽り、魂を揺さぶられたという。
作中で主人公ウェルテルが命を懸けて愛し抜いた女性、シャルロッテ。誰からも永遠に愛される彼女のように、自らの作る製品もすべての人々に愛され続ける存在にしたい。その一途な祈りにも似た情熱から「ロッテ」という社名が誕生した。戦後の混乱期、製菓業へと舵を切った小さな工場から始まった挑戦は、まさに文学的な理想を現実に変えるための旅路だった。