パティシエが自ら畑を耕し、果樹を育て、土の香りを嗅ぎ分ける。神奈川県小田原市の高台に広がる「一夜城 Yoroizuka Farm」は、鎧塚が長年抱き続けてきた「素材の本質から菓子を作りたい」という切実な想いを具現化した場所だ。収穫したばかりのブルーベリー、柑橘類、ハーブが、その日のうちに極上のタルトやジャムへと生まれ変わる。
この試みは、単なる地産地消の域をはるかに超え、製菓・パティスリー業界全体に強烈なインパクトを与えた。仕入れ業者任せの素材選びから脱却し、生産者と手を取り合って気候変動や土壌に向き合うその姿勢は、後進の若手シェフたちにとっても進むべき一つの指標となっている。