事件の衝撃は裁判の結末にとどまらず、出版業界やメディア表現のあり方にも大きな波紋を広げた。凶悪犯の心理構造や社会的背景を解明しようと、数々の社会派ノンフィクション書籍が出版された。だが、単なる事件の再現にとどまらず、被害者の尊厳や残された遺族の感情をどう保護すべきかという問題が常に議論の的に示された。
表現の波は映像世界にも及んだ。いわゆる実録犯罪映画というジャンルにおいて、この事件をモチーフにした作品が相次いで企画された。最も波紋を呼んだのが、2004年に公開された映画『コンクリート』(監督:渥美饒兒)である。主演に元男闘呼組の高橋和也を起用し、少年犯罪の暗部を直接的に描き出そうとしたが、上映決定直後から映画館への抗議や上映中止運動が巻き起こり、日本映画業界全体を揺るがす異例の事態となった。
一方で、事件をより寓意的に描き直そうとしたアプローチも存在する。2002年の映画『17歳』は、事件の事実関係をそのままなぞるのではなく、当時の若者たちが直面していた閉塞感や狂気を象徴的に描写した。作品としての評価は分かれたものの、凄惨な現実を映像化することの可否と責任についての議論を活発化させることとなった。