物語の核心にいるのが、主人公の祖母である徳永サノだ。佐賀県武雄市で暮らしていた彼女の日常は、アイデアとユーモアに満ちあふれていた。腰に磁石をぶら下げて歩き、拾った鉄くずを売る。川の上流から流れてくる野菜のくずを網で受け止め、「川は商品が勝手に流れてくる無料のスーパーだ」と言い切る驚異的な生活術である。
徳永サノの生き方は、単なる極限の節約術ではない。ものがないことを嘆くのではなく、目の前にある環境をいかに楽しむかという徹底した「肯定の哲学」だ。どれほど苦しい状況であっても、彼女の口から出る言葉はいつもポジティブで、周囲を明るく照らし続けた。