2010年代前半の日本映画は、一種の閉塞感とそれを打ち破ろうとするエネルギーに満ちていた。その中心にいたのが、まだ十代だった二階堂ふみと、圧倒的な悪役・怪役で存在感を示していた新井浩文だ。二人が共演した『ヒミズ』(2012年)での、震災後の荒廃した世界を生きる若者たちの焦燥感。そして、タブーに踏み込んだ『私の男』(2014年)での重厚な愛憎劇。スクリーンに映し出された彼らの視線は、観客の心に爪痕を残すのに十分だった。
当時、二人の間には単なるビジネスパートナー以上の「熱」が噂されていた。週刊誌のスクープ、年の差を超えた親密な空気。それらは単なるゴシップを超えて、彼らが創り出す作品のリアリティを補強するスパイスのように消費されていたのも事実だ。映画ファンは、彼らの危うい関係性に、かつての日本映画が持っていた「毒」と「色気」を見ていた。