童磨というキャラクターの最大の異質さは、生まれつき人間らしい「感情」を一切持っていなかった点にある。親の期待によって宗教の教祖に祭り上げられ、他人の悲しみや喜びをただの「お芝居」として模倣してきた。そんな彼が首を斬られ、消滅する間際に初めて抱いた感情は、あろうことか自分をハメた胡蝶しのぶに対する「恋心」だった。
あの世の入り口でしのぶの生首と再会した童磨は、頬を染めて「俺と一緒に地獄へ行かないかい?」と笑顔で問いかける。だが、しのぶから返ってきたのは「とっくに一人でくたばれ愚か者」という冷徹で容赦のない拒絶の言葉だった。死の直前に初めて芽生えた感情すらも身勝手であり、最後まで報われることのない滑稽さが、この鬼の哀しき本質を浮き彫りにした。