夏油が掲げた「非術師の抹殺」という狂気の思想。その根底にあったのは、単なる憎悪ではなく、呪術師という同胞を守りたいという偏執的な愛だった。非術師が撒き散らす負の感情によって呪霊が生まれ、それを祓うために若い呪術師たちが命を落としていく。この不条理な連鎖を断ち切る唯一の手段として、彼は全人類の「進化」か「選別」という極端な結論へと辿り着いた。
この理念は、制度の内側から呪術界を変革しようとした五条悟のアプローチと真っ向から対立する。同じ痛みを共有しながらも、決して交わることがなくなったふたりの道。新宿の雑踏での決別シーンに象徴されるように、正義の解釈が分かれた瞬間こそが、彼らの運命を決定づけた最大の悲劇であったと言える。