扉を開けた瞬間、鉄板と大鍋の熱気が頬を打つ。新大久保の喧騒から隔絶された店内は、肩が触れ合うほどの距離感だ。厨房では店主がリズミカルにお玉を操り、皿の上に次々と黄金色の山を築いていく。
目の前に供された牛すじカレーは、視覚からして暴力的なまでの引力を持つ。何時間も煮込まれ、繊維の隅々までスパイスが染み込んだ牛すじは、スプーンを差し入れただけでほろりと崩れる。口へ運べば、コラーゲンのまろやかな甘みが舌を包み、その直後に重層的な辛味が追いかけてくる。欧風のコクとインドスパイスの鋭さが見事に融合した、唯一無二の味わいだ。