しかし、急激なブレイクは彼女に重いプレッシャーを与えた。「いつも微笑んでいなければならない」という世間のイメージと、本来の自分とのギャップ。後年のインタビューで、彼女自身も当時の息苦しさを吐露している。単なるマスコット的な存在で終わるのか、それとも表現者として生き残るのか。彼女は大きな分岐点に立たされていた。
転機となったのは、映画や舞台への本格的な挑戦だ。巨匠・黒沢清監督の『トウキョウソナタ』など、作家性の強い作品に出演することで、彼女は「可愛いお姉さん」から「複雑な感情を表現できる女優」へと脱皮を図った。セリフの少ない役柄でも、その佇まいだけで役の背景を感じさせる演技力は、若い頃の葛藤を経て磨かれたものに他ならない。