歴史を振り返れば、黒猫は常に人間の想像力を強く刺激してきた。19世紀の米作家エドガー・アラン・ポーが描いた怪奇短編『黒猫』では、恐怖と人間の不気味な心理を映し出す象徴として強烈な印象を残した。欧州の古い伝承でも、魔女の相棒として恐れられるダークな不吉さがつきまとっていた時代がある。
だが、その負のイメージを鮮やかに塗り替えたのが日本のポップカルチャーだ。スタジオジブリの宮崎駿監督が手がけた金字塔『魔女の宅急便』に登場する黒猫ジジは、主人公キキの相棒として、愛らしくも少し生意気な素顔を見せた。この作品をきっかけに、その後のファンタジーアニメ作品における黒猫の描かれ方は「恐怖」から「頼もしく愛おしい相棒」へと劇的な転換を遂げたのだ。