「勝てば官軍負ければ賊軍(かてばかんぐんまければぞくぐん)」とは、「道理や理屈がどちらにあろうとも、勝利を収めた者が正義(官軍)となり、敗れた者は不正・反逆者(賊軍)の汚名を着せられる」という意味を持つことわざです。略して「勝てば官軍」と使われるケースも多く見られます。
ここで使われる「官軍」とは本来、朝廷や正統な政府に属する軍勢を指します。対する「賊軍」は、国家や君主に背いた反乱軍・逆賊のことです。つまり、この言葉は単に「勝者が有利になる」という牧歌的な話ではなく、「勝敗という結果が後から正義を書き換えてしまう」という世の不条理と権力の真理を冷徹に突いています。
語源の直接的な背景となったのは、1868年に勃発した戊辰戦争です。それまで日本を統治していた徳川幕府と、新政府を樹立した薩摩藩・長州藩を中心とする勢力が激突した際、勝敗の結果によって国家の正統性が瞬く間に塗り替えられた歴史的事実から生まれました。