綺麗事ばかりがタイムラインに並ぶ現代において、『蒲団』が放つ異臭とも言えるリアリティは、逆に新鮮なスパイスとして機能している。自己啓発本やポジティブな言葉に疲れたとき、この「どうしようもなく愚かで、みっともない男の物語」は、奇妙な救いを与えてくれるかもしれない。
誰もが完璧な自分を演出しようとする時代だからこそ、120年前にすべてをさらけ出した田山花袋の覚悟に触れてみる価値はある。教科書の退屈な説明を忘れ、一人の男の「狂気の告白録」として本作を開いたとき、あなたもまた、時雄の部屋の片隅で、その息苦しい空気を感じることになるだろう。 (出典: 田山 花袋 蒲団 あらすじ(Yahoo!ニュース))