なぜこれほどまでに好みの細分化が進んだのか。最大の立役者は、日常に溶け込んだ生成AIと次世代レコメンドエンジンだ。
これまでの検索エンジンやSNSは「世間で人気のもの」をユーザーに提示していた。しかし最新のAIは、ユーザー自身すら自覚していなかった「潜在的な偏好」をログから完璧に解読する。自分が無意識に長く見ていた画像、心拍数が微妙に上がった動画、そうしたバイオデータと閲覧履歴の統合により、「あなたはおそらく、こういう不気味だが美しい造形が好きなはずだ」とピンポイントで提示してくるのだ。結果として、人々は自分の「奇妙な好み」に素直になり、罪悪感なくそれを追求できるようになった。