この凄惨極まる事件のなかで、唯一の救いとなったのが被害者の腹部から取り出された長男の生存でした。発見時、赤ちゃんは母親の両足の間に倒れており、へその緒はハサミのようなもので雑に切断されていました。太ももや膝の裏、臀部に刃物によるかすり傷を負い、体温低下が見られたものの、迅速な救急搬送と緊急処置によって命に別条はありませんでした。
母親が絶命する直前、あるいは絶命直後に生まれたこの男児は、2026年の現在、38歳の成人として社会で生きています。当時、奇跡の生還を遂げた赤ちゃんの行方や成長後の生活については、週刊誌やワイドショーがセンセーショナルに報じようとした時期もありました。
しかし、残された父親と親族は、男児を過度な世間の好奇の目から徹底して守り抜きました。一部の報道や関係者の証言によると、父親は息子の精神的平穏とプライバシーを第一に考え、転居を重ねながら深い愛情を注いで育て上げたといいます。インターネット上では「海外(ハワイなど)へ移住したのではないか」といった噂も飛び交いましたが、公の場に姿を現すことなく、平穏な一市民としての尊厳が保たれ続けています。