七代目市川染五郎を名乗っていた十代後半から二十代にかけての彼は、まさに「掃き溜めに鶴」とでも言うべき、圧倒的な透明感とノーブルな色気を漂わせていた。古典歌舞伎の若旦那役で見せる端正な佇まいはもちろん、舞台を一歩降りた瞬間に見せる、どこか憂いを帯びた眼差しに世の女性たちは狂おしいほどに惹きつけられたのだ。
当時の雑誌の表紙やグラビアを飾る彼の姿は、伝統芸能の枠を超え、サブカルチャーやファッション界からも熱視線を浴びていた。伝統を守るべき血筋に生まれながら、どこかその枠組みからはみ出してしまうような危うさ。それこそが、当時の彼が放っていた最大の魅力だったと言えるだろう。