現在の在韓米軍を象徴する中核拠点が、ソウルから南へ約65キロメートルに位置する京畿道平沢市のキャンプ・ハンフリーズ(平沢米軍基地)です。かつて米韓連合司令部や在韓米軍司令部が置かれていたソウル一等地の龍山基地から、長年の歳月をかけて機能移転が行われました。
平沢基地の規模は、米軍が米本土外に保有する軍事施設として名実ともに世界最大を誇ります。その広大さは圧倒的で、敷地面積は約1,470万平方メートル(東京ドーム約315個分)に達し、山手線の内側面積の約4分の1に匹敵する広大な軍事都市を形成しています。基地内部には最新鋭の指揮管制センターはもちろん、滑走路、兵舎、総合病院、小中高校、大規模ショッピングモール、さらにはゴルフ場まで整備され、軍人・軍属およびその家族を含め約4万人以上が生活可能なインフラが完備されました。
この大規模移転の根底には、長年にわたる龍山基地の返還経緯が存在します。日本統治時代の旧日本軍司令部跡地を接収して以来、首都ソウルの中心部を外国軍が占有し続けてきたことに対し、韓国内では「主権回復」と都市再開発(龍山国家公園事業)を求める世論が根強く存在しました。さらに軍事作戦上の観点からも、軍事境界線(DMZ)からわずか約40キロメートルに位置する龍山は、北朝鮮の長射程砲や多連装ロケットの奇襲攻撃に対して極めて脆弱でした。司令部を平沢へ南下させた措置は、首都の民意に応えつつ、北朝鮮からの第1撃を回避して継戦能力を高めるための合理的な戦略的再配置であったと評価されています。