室内を徘徊する小さい蟻を駆除する際、最初に行うべきは「敵の特定」です。蟻の種類によって好む餌(糖質系かタンパク質系か)や営巣場所、毒耐性が大きく異なるため、種別を誤った薬剤を使用しても一切の効果が得られません。
室内に侵入する代表的な極小蟻は、主にイエヒメアリ、ヒメアリ、ルリアリ、そして外来種のアルゼンチンアリの4種に大別されます。特に注意を要するのがヒメアリの危険性と咬傷被害です。ヒメアリやイエヒメアリは極小の毒針を持っており、就寝中の乳幼児や皮膚の柔らかい大人の腕・首筋を刺す事例が多発しています。刺されるとチクッとした鋭い痛みとともに発赤や痒みが生じ、アレルギー体質の場合は患部が大きく腫れ上がる二次被害を招きます。
また、ルリアリの侵入経路には極めて特異な傾向が見られます。ルリアリは光沢のある黒色をした2ミリ前後の蟻ですが、植物の導管や枯れ枝の空洞を好む習性から、現代住宅においてはパソコンのキーボード下、壁内コンセントボックス、給湯器の電子基盤、ブレーカー配電盤の隙間といった人工の閉鎖空間に好んでコロニーを形成します。その結果、電子機器のショートや基盤故障を引き起こす「電気災害害虫」としての側面を持ち、オフィスや一般住宅での深刻な設備トラブル源となっています。
一方、特定外来生物に指定されているアルゼンチンアリの見分け方については、体長2.5ミリ前後の褐色で、単独ではなく集団で信じられないほどの高速移動を行う点が最大の特徴です。他の蟻のように立ち止まって触角を動かす動作が少なく、直線的に猛スピードで直進します。さらに、アルゼンチンアリは1つの巨大コロニーの中に数百匹から数千匹の女王蟻を抱える「超多女王性」を持ち、一度定着すると自力駆除が極めて困難になります。