不審な着信の正体は、世界中で猛威を振るう国際ワン切り詐欺(ワンギリ・スカム)だ。犯行グループは自動ダイヤルシステムを駆使し、ランダムに生成した日本の携帯電話番号へ一斉にコールをかける。コール音を1〜2秒で切り、着信履歴を残すことこそが彼らの狙いだ。
日本の利用者が不審に思い折り返し電話をかけると、偽の接続音や無意味なガイダンス音声が流れ、意図的に通話時間が引き延ばされる。国際電話通話料は電気通信事業者の規定に基づき、30秒ごとに数百円単位の超高額な料金が課金される仕組みだ。発生した高額な通話料の一部が、中継業者を通じて詐欺グループの手元へと還流する。かつてドキュメンタリー番組のNHKスペシャル「追跡・国際詐欺マネー」が告発したように、国際通信の複雑な精算システムを悪用したマネーロンダリングの構図が、現在も形を変えて生き残っている。